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パニック障害について


パニック障害とは

パニック

理由も無く強い動悸で胸がドキドキする
急に息苦しくなる
このまま死んでしまうのではないか?

など、突然強い不安に襲われ、パニック発作がおきてしまう症状のことを言います。

想定外の事や、思いもよらない事態が発生した際に、一時的にパニック状態になることは誰にでもあります。

しかし、

特にこれといった理由もなく、体調も悪いわけではないのに、このようなパニック状態になってしまうのが「パニック障害」です。

生物は危険を察知したり、緊急事態に遭遇すると脳や身体が戦闘態勢に入ります。これは脳から分泌される脳内物質のおかげで自律神経の働きによるものですが、パニック障害の方は実際には危険が迫っていないのにもかかわらず、間違って非常事態と判断してしまい息苦しさや動悸などの症状を引き起こします。

言い換えれば、脳の誤作動なのです。

パニック障害の患者数

日本で認知されてきたのは最近のことですが、およそ100人に1人の割合でパニック障害にかかったことがあるとも言われており、珍しい病気ではありません。
パニック障害自体は命に関わる病気ではなく、慢性化することもありますが、早い時期に適切な治療をすれば治りやすい病気だとも言われています。

パニック障害の代表的な症状

パニック発作

突然、理由もなく激しい不安とともに胸がドキドキする、しめつけられる、息ができないなど、主に心臓を中心とした自律神経症状が複数重なって起こります。

ほとんどの場合は10〜15分程で治まりますので、救急車で病院に運ばれても、その頃には症状は治まっており、検査をしても身体はどこも悪くないので異常はみつかりません。

パニック発作は、他とはっきり区別される強烈な恐怖感や不快感であり、次の症状のうち、4つ以上が突然現れ10分以内にその頂点に達することで診断されます。

  • 激しい動悸、または心拍数の増加
  • 発汗
  • 冷感または熱感
  • 身震い、またはふるえ
  • 息切れ感、または息苦しさ
  • 胸痛、または胸部不快感
  • 嘔気、または腹部の不快感
  • めまいによるふらつき、または気が遠くなる感じ
  • 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
  • 現実感消失、または離人症状(自分自身から離れている)
  • コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖感
  • 死に対しての強い恐怖感

予期不安

あの恐ろしいパニック発作が起きるのではないか?といつも発作のことを心配するようになります。また、自分は重い病気なのではないか?発作が起きても誰も助けてくれないのではないか?人に迷惑をかけるのではないか?などの不安を抱えるようになります。

広場恐怖

「またその場所に行ったら発作がおきるのではないか?」「もしも逃げ場のない場所でパニック発作がおきたらどうしようか?」などと考えてしまい、電車やバス、エスカレーター、美容室など、発作が起きても他人ばかりで助けが得られなかったり、そこからすぐには逃げられなさそうな場所を恐れ避けようとします。
そのために、一人では外出や電車に乗ることができなくなることも多く、恐怖を感じる場所に近づくだけで動悸がしたり、息苦しくなったりすることもあります。

パニック障害の原因

脳内不安神経機構の異常

パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、最近では「脳内不安神経機構の異常ではないか」と考えられています。

ヒトの脳には無数の神経細胞(ニューロン)があり、その間を情報が伝わることで運動や知覚、感情、自律神経などの働きが起こります。

パニック発作や予期不安、恐怖などもこの脳の機能のあらわれで、そこに何らかの誤作動が生じるために起こっていると考えられるのです。神経細胞間の情報を伝える化学物質(神経伝達物質)やそれを受けとめる受容体(レセプター)の機能の異常が関係しているのではないか、という研究が進められています。

【ノルアドレナリン仮説】

脳の青斑核という部分では、ノルアドレナリンという神経伝達物質を分泌し、危険が迫ったときに警報を発する神経が作動するようになっています。

パニック障害の場合、このノルアドレナリンの過剰分泌あるいはレセプターの過敏が起きているのではないかと考えられています。

【セロトニン仮説】

ノルアドレナリンにより引き起こされる不安感が、行き過ぎないよう抑える働きのあるセロトニンという神経伝達物質が不足しているのではないか?

あるいはレセプターが鈍くなっているためではないか?という説です。

遺伝体質やストレスとの関係

パニック障害の患者の家系にはパニック障害やうつ病、アルコール依存症などの発症率が高いとされています。
うつ病やアルコール依存症も根底には不安が関係しており、不安を持ちやすい体質が何らか関連しているのではないかと考えられます。

ストレスとの関係は明らかにはなっていませんが、体質に加えストレスの多い環境や幼児期のつらい体験などの後天的な要素により発症するのではないかと考えられています。

身体因性と捉えるのが現在の主流

「幼児期の体験など過去のトラウマや性格的なもの」に注目する考え方は最近では少なくなり、発症や悪化の誘引としてストレスなどが関係していることは否めないが、原因はあくまでも脳内不安神経機構の異常という生物学的なもので、ストレスで壊した胃を薬で治療するように、パニック障害も治療するのが対処としては有効であると考えられています。

パニック障害と食生活の乱れ

低血糖がパニック障害を誘発する?

パニック障害の原因の一つとして低血糖症や食生活の乱れがあります。ファーストフード、ジャンクフードや糖分の摂りすぎなど、食生活の乱れからインシュリンが大量に分泌されるようになり低血糖症を起こしパニック障害を誘発すると考えられています。

なぜ脳内不安神経機構の異常が起きる?

「原因は身体因性」としても、そもそもなぜ「脳内不安神経機構の異常」などという“生物学的な機能異常”が起きてしまうのでしょうか?

体の中の様々な生物学的な現象は体の外側からの影響で起きる化学変化であると考えれば、食べ物の偏りや過労、ストレスなどが、体内のホルモンなどの乱れを招いている可能性もあるかもしれません。
人間の心身の健康の問題ですから、生まれもった体質に加え、食生活や睡眠その他の生活習慣やストレスの影響なども全体的に捉え、見直していく必要があるのではないでしょうか。

パニック障害を誘発するもの

以下が原因でパニック発作を誘発することがあります。

  • コーヒー(カフェインがノルアドレナリンを促す)
  • タバコ(ニコチンの抗不安作用のリバウンド)
  • アルコール(アルコールの抗不安作用のリバウンドなど)
  • 咳止め:エフェドリンや気管支拡張薬(ノルアドレナリンのレセプターを刺激)
  • 経口避妊薬
  • 低血糖(低血糖は不安を増強)
  • 疲労(疲労物質である乳酸との関連)
  • 睡眠不足
  • 過呼吸(二酸化炭素の上昇などが過呼吸を引き起こす)

パニック障害の治療

病院での治療は主に薬物療法と心理療法(または認知行動療法)が中心となります。

まずは薬でパニック発作を抑え、不安や恐怖感をコントロールできるようになるためには認知行動療法があります。また食事や睡眠など生活全般を整えていくための食事療法などがあります。

薬物療法について

パニック障害の薬物療法による目的は、「パニック発作」を予防したり抑えたりすることです。
そのために、治療薬として主にパキシルなど『抗うつ薬』と『抗不安薬』のどちらか、症状によっては両薬剤を使用します。

抗うつ薬

セロトニン&ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  • ミルナシプラン(商品名:トレドミン)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  • フルボキサミン(商品:デプロメール・ルボックス)
  • クロミプラミン(商品名:アナフラニール)
三環系抗うつ薬
  • イミプラミン(商品名:トフラニールほか)
  • クロミプラミン(商品名:アナフラニール)

抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬
  • アルプラゾラン(商品:コンスタン・ソラナックス)
  • ロラゼパム(商品名:ワイパックス)
  • ロフラゼン酸エチル(商品名:メイラックス)

気になる副作用について

副作用の大小には個人差があります。
飲み始めは副作用が気になる事もありますが、1週間を目安に徐々に慣れてきますので、できるだけ我慢して飲み続けてください。どうしても耐えられない場合は医師に相談して、薬を変えてもらうなどの処置が必要になります。

代表的な副作用の症状として

  • 下痢や便秘
  • 眠気、めまい
  • 胃の不快感や吐き気

などがあります。

薬を飲み続けていると、症状が和らいだり発作が起きにくくなったりしますが、病気が治ったと勝手に自己判断して薬の服用を止めないようにしましょう。

認知行動療法

認知行動療法とは、私たちのものの考え方や受け取り方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりする治療方法です。

ちょっと心臓がドキドキしただけで「死んでしまうのでは」と物事を 悪い方にばかり考えたり、本来恐怖や不安を感じる必要のないことに過敏に反応してしまうなどの「心の過った反応」を治していくことが目的です。

自分の生活状況や考え方、行動がパニック発作とどう関連しているのかを理解し、電車に乗れない、人ごみを歩けないなどの行動をコントロールできるようにしていく訓練療法です。

自律訓練法(リラクゼーション)

不安やパニックが起きたときに、呼吸法やリラクゼーション法によってコントロールする方法を身につけます。自己催眠を重ねていくうちに、過度の緊張がとれ、疲労が回復し、心身ともにより健康になることを目的とします。

暴露療法(エクスポージャー)

曝露療法とは、自分が怖いと思う場所、怖いと思う条件に段階的に自分を晒して慣れていきながら、それらに対して自信をつけていく療法です。「自分が避けている場所がパニック発作とは関係がない」ことを身をもって確かめていきます。一つ目標がクリアできたら、少しずつ段階的に目標のレベルを上げていき、最終的に「恐怖を克服出来た」という認識に変えていきます。

自分でもできる改善方法

食生活の改善

栄養のバランスの乱れは内臓など身体に影響を与えますが、セロトニンなどの脳内物質にも影響することも考えられます。また、ジャンクフードや糖分の摂りすぎはパニック発作の誘因といわれる低血糖の原因になります。健康を作る基本として食生活を正しくしましょう。

規則正しい生活

一日三食のバランスのとれた食事、規則正しい生活は健康に欠かせないものです。
睡眠不足や過労、かぜ、二日酔いなどはパニック障害に影響することがあるので、体調を崩さないよう心がけましょう。

軽い運動をする

激しい運動や筋トレなどの運動より、軽く汗をかくほどの有酸素運動の方がパニック障害の治療には有効です。ウォーキングや軽めのジョギングなど、毎日無理なく継続できるものが望ましいです。

飲酒・喫煙・カフェインについて

お酒に含まれるアルコールやコーヒーに含まれるカフェイン、タバコに含まれるニコチンはパニック発作を誘発させます。
確かにコーヒーやタバコは一時的なリラックス効果はあります。

しかし、ニコチンやカフェインには覚醒作用がありますので、人により個人差はありますが
血圧や心拍数が上昇します。それにより、パニック発作を誘発しやすくなるとされています。

パニック障害とうつ病の関係

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二次的うつについて

パニック障害と併発する抑うつは、気持ちが沈んで常にクヨクヨして落ち込んだ状態になってしまいます。

どうしてうつ病になるのか

なぜパニック障害からうつ病が出てしまうのか?
パニック障害の経過の中で、パニック発作を起こし、再びパニック発作が起きるのではないかという予期不安になります。今度はこの予期不安のために、「またパニックが起きてしまうのではないか?」という場所に対しての広場恐怖へとつながっていきます。

このため外出するのが怖くなり、家に閉じこもりがちになってしまいます。
そうなると、社会生活でも支障が出るようになり、やがて自信を失うことで抑うつへと移行していきます。うつ病の症状が出てしまうと治療も長くかかりますので、こうした症状が出る前に、パニック障害の治療を始めるのが望ましいです。

二次的うつの治療が先決

パニック障害と併発して発病するうつ病を「二次的うつ」と言います。
併発して出てくる症状ですが、パニック障害とは一緒にせずに、別な病気として分けて見られます。
このうつ病は、ジワジワと少しずつ進行していき、パニック障害の本人はもちろん、家族や周りの人が気付かない内に進行して発病することが多いです。気持ちが沈みがちになるだけで、発作の回数も減ってくるために、本人も周囲もさほど気にかけない場合が多いのですが、うつ病にまで発展してしまうと、完治させるまでに時間がかかりますので注意が必要です。

うつ病の症状

パニック障害の患者がいつの間にかうつ病になっていた。そんな状況を周囲はもちろん本人も気づかなければいけません。うつ病の症状が以下のようなものになります。

  • 気持ちが落ち込んでいて、普段は楽しいと思ってたことも楽しいと思えない
  • 食欲がなく、毎晩眠れない
  • 特に理由もなくイライラする
  • すぐに体が疲れてしまう、また活力も湧かない
  • 生きる気力がない
  • 自分に対して強い劣等感を感じる
  • なんでもないことでも決断できない、または決断にものすごく時間がかかる

先にうつの治療を

先にうつ病の治療を行い、前向きにパニック障害の治療に取り組めるようにしていきましょう。
医師と相談しながら、投薬治療によって改善していくこととなります。
しっかりと真面目に取り組めば、3ヶ月〜半年ほどでうつの症状は緩和されていきます。
パニック障害を放っておくと、こうしてうつ病も出てきてしまいますので、できるだけ早いパニック障害の治療に取りかかりましょう。


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